連載

情動計算 序

投稿日:2018年10月29日 更新日:

初めまして、彭と申します。主にヒューマンコンピューターインターフェース(HCI)の分野で研究活動をしています。大学院にいた頃は、温度刺激による情報提示とVR臨場感の増強をメインに研究していました。そして、ZAIZENに就職後、「音声合成」を主に担当し、それに伴い、「情動計算」(Affective Computing)に興味を持ち、日々勉強しています。自己紹介はこのあたりにして、さっそく本題に移りたいと思います。

近年のAI(人工知能)ブームでは、「知能」を持つロボットが開発され、様々な場面に応用されています。しかしながら、現存するロボットのほとんどは与えられた仕事を忠実にやり遂げるだけの存在です。例を挙げれば、ルンバの様な掃除ロボットでしょうか。そして、Siriの登場に伴い、対話型のインターフェースも増大しています。このような背景から、対話型ロボットが登場し、さらに人間に近いロボットの実現に向けて、人間の感情を理解しようと多くの人が試みています。

日本におけるロボット人気の現状としては、流行文化、特にサイエンスフィクションの影響か、人型ロボット(ヒューマノイドロボット)の人気が高いです。また、ロボットに対して、「機械」や、「奴隷」ではなく、「仲間」といった親しい存在であるという考え方が、多く見受けられます。この「仲間」という、ユーザーを配慮したり慰めたり出来るロボットを実現する為に、多く企業は「情動計算」の研究を通して、ロボットに「感情」を与えようと努力しています。

「情動計算」とは人間の感情に対して認識、理解、処理、シミュレーションできる計算機システムの研究と開発における研究です。MIT(マサチューセッツ工科大学)のRosalind Picard教授は1995年の「Affective Computing」という論文で情動計算を提唱し、1997年にその知見をまとめた「Affective Computing」(情動計算)というクラシックな専門書を出版しました。素晴らしい専門書ですが、残念ながら日本語に翻訳されていません。そこで、この本の内容を共有し、皆様の知見になり得ればと、本記事の作成を計画しました。

本記事はこの序論を含めて、全8篇で構成しています。各編のタイトルは以下の通りです。

1.「情動計算 序」
2.「情動計算」
3.「情動計算の応用」
4.「潜在問題」
5.「情動信号とシステム」
6.「情動の認識と表現」
7.「感情合成」
8.「情動機能付きウェアラブルデバイス」

最後に、本記事は「Affective Computing」を参照し作成しています。素晴らしい知見が溢れている一方で、出版されてから多くの時間が経過し、時代遅れの部分もあります。本記事作成にあたり、出来るだけ最新の論文から得た知見も加え、エンジニアという立場で、様々な視点から議論できればと考えています。

それでは、よろしくお願い致します。

投稿者プロフィール

ホウ イ
ホウ イ
株式会社ZAIZEN マトリックスユニバース事業部 ソフトウェアエンジニアの一人。彼女募集中(笑)。慶應義塾大大学院メディアデザイン研究科修士卒。研究分野:温度提示システム(HCI)・音声合成(AI)・アフェクティブ・コンピューティング(AI)。犬派で、ゴールデンリトリバー一匹飼うのを人生目標の一つとする。

-連載
-

Copyright© ZAIZEN Engineering Blog , 2019 All Rights Reserved Powered by STINGER.